ミッキーウォッチのオーバーホールが難しい理由

古いキャラクターウォッチもコレクションしています。

1931年。インガーソル ムービングミッキー ファーストモデル
オリジナル革バンド+箱つき。

スモールセコンド周辺のおおらかさが可愛らしいミッキーウォッチです。
ムービングミッキー
*1931年というのはギャランティーに記載されていました。

もともとミッキーウォッチは子供向けのものなので、使い捨てを前提として作られているようです。
当時これらを製造していた方々が86年経っても大切にされてることを知ったら、さぞ驚くことと思います。そんな想像をすると愉快な気持ちになります。

さて、ミッキーウォッチに限らず古いキャラクターウォッチは、修理やオーバーホールが困難な場合があります。理由はその構造です。

ムービングミッキー

通常の機械式腕時計は文字盤とムーブメントをネジで固定していますが、多くのキャラクターウォッチはツメで固定する構造です。

赤丸で囲んだ部分が固定ツメです。

ムービングミッキー ムーブメント

ツメを立ち上げて文字盤を外します。

ムービングミッキー 文字盤の爪

私のコレクションは問題なく外せましたが、個体によってツメが折れてしまう可能性があるのです。

ツメが折れてしまうと文字盤とムーブメントが固定できず、文字盤がガタつきます。
不安定な文字盤は針と接触してしまい、針が動かなくなります。時計としては致命的です。

ツメが折れた場合の対策としては文字盤とムーブメントを接着する方法が考えられますが、次回のオーバーホールや修理に支障をきたすためオススメできません。

こちらもコレクション。1960年代のスヌーピー。スヌーピーウォッチ

4箇所のツメががっちり噛んでいて、立ち上げたら折れる可能性が非常に高いです。
スヌーピーウォッチ ムーブメント

古いキャラクターウォッチのオーバーホールや修理をお断わりされたという話をたまに耳にします。主な理由はこのツメにあると思います。『開けたら壊れる』という時計もあることをご承知おき頂けたらと存じます。