時計修理/磁気抜き(動画)

動画を公開しました。
磁気帯びして日差+2時間になってしまった時計の磁気抜きです。

■磁気帯びの原因と症状

ムーブメントの一部の部品には鉄を使用しています。磁気に触れると部品が磁気の発生源に引き寄せられるため進みや遅れが発生します。
短時間の接触であれば磁気の発生源から遠ざければ再び正常に作動しますが、接触時間が長くなると時計の部品が磁気を帯びて磁石になってしまい、不動や精度不良の原因となります。

■動画の解説

・00:00~
お預かりした状態のままです。裏蓋も開けていません。
機械の液晶の右上の数字「19800」が振動数です。

本来は18000振動のムーブメントです。
19800振動ー18000振動=1800振動分、テンプが早く動いています。
そのため日差+2時間という症状が現れました。

時々カウント音が消えるのは、テンプの動きが不安定で計測できないためです。

・00:39付近~
黄色い装置(磁気抜き器)で磁気を抜きました。

・00:59付近~
磁気抜き後、18000振動に戻りました。
カウント音にあわせて液晶に表示される『点』も揃っているのがお分かりいただけると思います。精度が安定したということです。

■アンティークウォッチの耐磁性

アンティークウォッチは耐磁性に乏しく、磁界に入ると磁気帯びします。

1950年代より前のものは、そもそも耐磁性がありません。それ以降の耐磁性(アンチマグネティック)を謳っているモデルでも現行品より性能が劣ります。

スマホの上に時計を置くだけで磁気を帯びてしまいます。テレビ、スピーカー、パソコンの上、バッグのマグネットなども要注意です。

現代の生活では磁気を完全に避けることは不可能ですが、『電気を使うものと磁石には近づけないことをご留意ください。

■あわせてご覧ください。

アンティークウォッチの取り扱い
http://janaab.net/antique/