ハミルトン ドクターズウォッチ セクロン Hamilton Seckron

都内も梅雨入りし、本格的にアンティークウォッチの夏休みの時季がやってきました。

夏休みと申しましても腕時計として使うことを休ませるだけでして、目の保養、心の栄養としては休むことなく働いてもらいます。愛でる時間は至福です。

本日はコレクションの中から、アメリカの老舗ハミルトンのドクターズウォッチ『セクロン』をご紹介いたします。

1940年代 Cal.980B搭載 機械式手巻き MADE IN USA
ハミルトン ドクターズウォッチ セクロン

ケースは10K金張り。針はブルースチール。

最大の特徴は上下に分かれた文字盤です。
上段で時間を、下段で秒を読みます。

独立した大きな秒針は、医師や看護師が患者の脈拍を計測するためのものです。
セコンドサークルの周囲には5秒間隔で放射状の線が描かれていて、直感的に秒の経過がわかります。
時間の文字盤も視認性がよく、小ささを感じません。

ケースはカーベックスタイプ。

ハミルトン ドクターズウォッチ セクロン カーベックスケース
*カーベックスとはフランス語で『カーブ』のことです。

背面が湾曲しているので手首に程よくフィットし、ズレにくい形状です。

患者さんの脈を計るという目的に特化し、使いやすいよう工夫されています。
機能のユニークさだけでなく、アール・デコ調のデザインが上品で美しいのも魅力的です。

現代は指先で脈拍を計測する機械があるので、ドクターズウォッチは復刻モデル以外で製造されることはないでしょう。

70年以上前の医師か看護師がこの時計を使って活躍していたのだろうと想像すると、時計にも「お疲れ様でした」と声をかけたくなります。

そんなノスタルジックな気持ちになるドクターズウォッチのご紹介でした。